製品導入事例

デザイナーが求める品位をかたちに。

総合電器メーカー/ノートパソコン 様

製品の進化は、部品の進化

聞く、話すといった基本的な機能だけでなく、さまざまな機能をどん欲なまでに取り込んでいる携帯電話。特にカメラは、すでに基本機能のひとつといっても過言ではないだろう。
デジタルカメラの驚異的な進化を背景に、携帯電話のカメラ機能も飛躍的な進化を遂げていたある時期、携帯電話の開発スタッフから、マルサンネームにひとつの相談が寄せられた。それは、カメラのレンズカバーの部品についてだった。

高性能なカメラ機能のアピールに

新たに開発されている製品は、最先端のカメラ機能が実装されることになった。その高性能をデザインにも反映させたいと考えた担当デザイナーは、カメラのレンズ部分にアクセントをつけるデザイン画を起こした。レンズの周囲に、サーキュラーと呼ばれる環状の加工を施した金属をめぐらせ、レンズ部分に強いアクセントをもたらす。さらにレンズ部分を保護するために、金属と本体の間に透明のカバーを設置する。つまり製品化には、サーキュラー加工を施した金属の質感と、透明な樹脂を一体化した装飾パーツが求められたのだ。

デザインの理想、コストの制約

キラキラと光を反射する印象的で美しい輝きを実現するには、やはり素材には金属がベスト。また、レンズカバーとなる部分は、樹脂でなければ実現できない。金属加工、そしてアセンブルという工程が発生するため、どうしてもコスト高になってしまう。さらに、1センチにも満たない小さな部品のため、高い加工精度が求められる。歩留まりが悪ければ、それだけコストに影響してしまう。しかし、携帯電話のような競争の激しい製品に、コスト高は禁物だ。いくつかの部品メーカーの回答に満足を得られなかった開発担当者は、マルサンネームに相談した。

加工方法から、ベストを提案

相談を受けた担当者は、デザイナーの意図をくみながら、より低コストで可能な類似の加工方法を提案。さらに金属と樹脂のアセンブルにも独自の手法を利用し、コストを圧縮した試作品を提案した。
サーキュラー加工の代替として提案した加工方法が、はたしてデザイナーが目的とした品位を表現できているかどうかが焦点となった。綿密な打合せと試作による検討を重ねた結果、デザイナーの承認を得る部品の製造にこぎ着けた。こうして、高性能なカメラ機能を実装した携帯電話のニューモデルが発売された。このモデルでマルサンネームが提案し、採用された金属加工法は、これ以降の他のモデルでも活用され、多くのモデルを飾ることとなった。