製品導入事例

1円玉サイズの超小型。
力や荷重の大きさを見える化する重量センサー

すべてのモノには何かしらの力・荷重がかかっており、モノが移動するとその力・荷重は変化します。定量的に数値化して“力・荷重を見える化”するには、従来は高価なロードセルや、変位量の変化から計算するしか方法はありませんでしたが、もっと安価で簡単にできれば、動きの制御や重さ・変位量の管理などにも応用でき、さまざまな場所に取り付けて新たなセンシング技術として広がる可能性があります。

そんななか、マルサン・ネーム(神奈川県横浜市、森 征二社長)は、感圧センサ技術を応用し、力・荷重を数値化できる「重量センサ」を開発。1個3000円程度の低価格で力・荷重の見える化を実現した新技術について、詳細を聞きました。

荷重・力の数値化で可能性が広がるセンシング・制御技術
ロードセルは価格が高めで、もっと手軽に使えるものが求められる

技術部 宮腰 健司 課長
力や荷重を数値化するものとしてはロードセルが最も一般的で、1/1000や1/10000といった高分解能で高精度の測定ができます。価格は数万円から数百万円まで幅広く、さまざまな機器に組み込まれていますが、力を測れるものが他にはないという理由でオーバースペックを覚悟して使われていることが多々あります。
また、質量や移動速度などからも力は計算でき、直接測定しないで計算上で数値化するという方法もあり、荷重・力の数値化は、主にこれら2つで行われています。

しかしながら、ロードセルは価格が高く、サイズも大きめ。計算だと実際に測っておらず、あくまで理論値でしかありません。その意味でも、細かく正確な数値を測定したい時はロードセルが使われていて、それよりももっと概算の数値が知りたい、組み込んでの制御・管理に使うので目安の数値との差異だけ分かれば良いといったような用途向けには適した製品がなかったのが実情です。

直径20㎜・厚さ1㎜の超小型・薄型。ステンレス製で屋内外問わず使える高耐久性
クリープほぼゼロ、ヒステリシスはほとんど発生しない

そんな概算値程度の荷重や力の制御ができるものとして開発したのが、今回の「重量センサ」です。定性的に荷重・力の量を測定できる感圧センサの技術を進化させ、クリープやヒステリシスを独自技術の採用により極限まで減らし、定量的な測定を実現しました。

直径20mm・厚さ1mm程度と1円玉と同レベルの超小型・薄型で、1/25~1/20の分解能で100gと500gまでの荷重・力を測定できます。点で荷重を検知する「ダイヤフラム型」と、面で検知できる「ベローズ型」の2種類があり、オールステンレスなので500万回と強い耐久性で屋内・屋外問わず、場所や用途によって使い分けることができます。

産業機器はもちろん、ちょっとした隙間があればあらゆるところに取り付けでき、これまでコストや大きさがボトルネックとなってロードセルを使えなかったところをはじめ、発表してからさまざまな方面から「こんなところに使えないか」というお問い合わせを数多くいただいている状況です。

直径20㎜・厚さ1㎜の超小型・薄型。ステンレス製で屋内外問わず使える高耐久性
クリープほぼゼロ、ヒステリシスはほとんど発生しない

主な用途として、分解能がそれほど高くなく数万円程度の低価格帯のロードセルの代わりとして荷重や力の測定に使えるほか、変位量から荷重や力を推算したり、逆に荷重や力から変位量を導き出すようなこともでき、使える場面は限りなくあります。

例えば、タンク内の液体や粉体の残量管理には液面の変位を測定して管理するレベルセンサが使われていますが、それを粉体(ベローズタイプ型のみ)や液体の重さの変化から残量を把握したり、構造物の限界荷重の管理などにも有効です。また、直径20mm・厚さ1mm程度のサイズを活かし、ロボットや産業機械に組み込んで各部の荷重の制御などの用途も有望視されています。

1個数万円のロードセンサに対し、3000円から使える重量センサ
サンプルや初心者のための導入キットも用意

ロードセルは、廉価モデルといっても1個あたり数万円の高価格で、従来の感圧センサは安価で小型ですがクリープやヒステリシスがネックで採用しずらいという難点がありました。それに対し、重量センサは3000円程度で済み、クリープやヒステリシスがほとんどなく、ロードセルや感圧センサしか選択肢がなかったり、価格やサイズなどの問題でロードセルを使えなかったような用途をはじめ、荷重や力がかかるところであればどこでも使える可能性があります。ロードセルが数値を細かく測定・把握できるのに対し、重量センサは概算値を把握して制御や管理用途にも適しています。

すでにロードセルを使っている、すぐに組み込みたいという方向けのサンプルや、まだ使ったことがない、どうすれば使えるようにできるのかという初心者の方向けには導入キットなども用意しています。荷重や力を見える化し、新たな製品開発に役立ててもらいたいと思っています。